やみ
したたりおちる音が静か だと
あまりにくらすぎる と
子供が言いました。
したたりおちる音が綺麗 だと
あまりにすきとおって と
もうひとりの子供が言いました。
不透明の宇宙の中で
半透明のやみの中で
すきとおった音をたべて
子供がふたり、笑いました。
今だけはふたり
幸せなままで
うまれおちる寸前の
そのまっさらな心のままで
―――お寝みなさい。
やみは静かです。
やみは綺麗です。
だれにも覗けません。
だれにも壊せません。
ひとりでなくて、ふたりで。
やみの先には何もみえません
ひとすじの光すら
ひとつの道も
たしかにそこには何かあるのに
飢えていますね
飢えていましたね
余計に飢えた気が、します。
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