冬の訪れ

月くぐつ



冬の訪れ



白い空の下で
窓の外を見る
いらり いらり 風が吹くたび
いらり いらり 葉がおちる
掃き清められ 何一つ無かった大地(ゆか)
いらり いらり
葉がおちる
一面葉に覆われて 葉のじゅうたんがしかれたら
やっと大地は安心する


だって安心して眠るにはふとんが必要 はぎとられてごらん
眠ってなんかいられない


いらり いらり
静かに静かに葉がおちる




白い空の下で
窓の外を見る
おろり おろり 風に吹かれて
おろり おろり 月くぐつがやってくる
重くたれこめた曇天の下
おろり おろり
月くぐつがやってくる
夜の生き物が大地を歩く
昼最中(ひるさなか)の曇天の下を


僕は月の扉の中にいて その扉は二枚あって
木と銀と
一枚目までは誰でも入れる
でも二枚目に入っては来れない  まだ
入ってこないのに 傷つけてゆくんだ
二枚目の扉よりもずっと深いところを



おろり おろり
月くぐつは 歩いていく
冬の訪れの中 おろり おろりと








//