祭の夢

月くぐつ



祭の夢



祭がはじまる…炎と光 渦巻く 祭 が


どんよりとした空の彼方 不気味な羽音 切り裂き聴こえる
でも いつまでも姿が見えない ―――まぶしい光の下で
眠りから醒めたばかりの心が ふたたび夢をみはじめる
忘れかけた記憶を呼び醒ますかのように


光    光!
月と陽はまざりあい渦を為して世界を染める
この宇宙(そら)はあの青をしていない ただひたすらまばゆいばかりの光


夜が 明ける 祭 終わる一夜 夢 ふたり見た
この夜で この夜で
皆 熱にうかされていた



手が届かない 地は揺るぎなくそこにあるのに
精霊よ連れて行くな 僕をとらえるな
ただ遠くへ高みへいかなければならないと駆りたてられた
祭 歓声 笑い 叫び ざわめきさざめき響く 歌 人 人 ひと――
炎と光渦巻く祭 燃え尽きるまで 続け


どんよりとした空の彼方 不気味な羽音 切り裂き聴こえる
でも いつまでも姿が見えない 
眠りから醒めたばかりの心が ふたたび夢をみはじめる
忘れかけた記憶が呼び醒まされる
虚無の中 凍れる瞳 僕をみつめる
この宇宙はあの青(いろ)をしていない ただひたすらまばゆいばかりの光(いろ)


音も無くふりつもる雪のように深い眠りへと落ちてゆきたい
虚空にはあの青は無い 炎 陽の音 光 渦
どこにもあの青 みつからない



夜が明ける この夜で この夜で
祭が終わる 別れが来る 別れが来る
一夜だけ夢をみた
ふたりでみた 夢をみた 幻をみた 未来をみた
この夜で この夜で



―――皆 熱にうかされていた
誰も あの青をみつけられなかった





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